「便利なのに使われない」から学んだ、個人開発の失敗パターン

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「便利なのに使われない」から学んだ、個人開発の失敗パターン
Photo by Christopher Gower / Unsplash

個人開発者として活動していると、客観的に見て便利で、技術的にも面白いサービスが、必ずしもユーザーに受け入れられるとは限らないという壁にぶつかることがあります。

今回は、私が開発したVTuber向けYouTubeショート分析サービス「Short分析V」の事例を振り返り、そこから見えてきた「サービス開発における失敗の法則」について共有します。

1. 「Short分析V」とはどんなサービスだったのか?

このサービスは、一言で言えば「VTuberに特化したYouTubeショートの市場調査ツール」です。

1万人以上のVTuberのデータを蓄積し、以下のような分析を可能にしました。

  • 登録者数(レンジ別)の再生数ランキング
  • いいね数やコメント数によるソート
  • 登録者規模ごとの最適な投稿時間帯や曜日の可視化

「100万人のトップ層を真似しても、規模が違えば戦略は変わる。自分より少し上の層が何をしているかを知るべきだ」という明確なコンセプトがあり、データとしても非常に有用なものでした。

2. 致命的な失敗:ユーザーの「思考フロー」との乖離

しかし、運用を続けて分かったのは、ユーザー数が全然増えないという現実でした。なぜ便利なのに使われないのか? データを分析して気づいたのは、ユーザーの思考フロー(行動の習慣)に沿っていなかったということです。

「1時間を1分にする」サービスは強い

新しいシステムを導入してもらう一番簡単な方法は、「今まで1時間かかっていた作業を、やり方は変えずに1分で終わらせる」という時間短縮の提案です。これはユーザーにとってメリットが分かりやすく、心理的なハードルも低いため、非常に導入されやすいです。

「分析」は新しいコストを生む

対して「Short分析V」が提案したのは、今までやっていなかった『分析』という新しい工程を、データを使って始めましょうというものでした。
どれだけ優れたデータでも、普段から分析の習慣がない人にとっては、それは「時短」ではなく「新しい仕事(コスト)」になってしまったのです。

3. 「分析」というハードルの高さ

クリエイターの多くは「動画を作ること」に集中したいのであって、データサイエンティストになりたいわけではありません。

  • 「どの時間が伸びやすいか」というデータを見ても、それをどう解釈し、次のアクションに繋げるか。
  • アルゴリズムの変化をデータからどう読み解くか。

これらをユーザーに委ねてしまう設計は、ユーザーに高いリテラシーと「考える労力」を強いることになります。これが、サービスが普及しなかった最大の要因だと考えています。

4. 失敗から得た「これからの設計指針」

この経験から、今後のサービス開発では以下の2点を徹底しようと考えています。

  1. 現在のフローに徹底的に寄せる
    ユーザーの今の習慣を壊さず、その延長線上で「便利になった」と感じてもらえる設計にする。
  2. 「教える」コストを最小化する
    データを見せて「考えてください」とするのではなく、ユーザーが考えなくても次に何をすべきか分かる、あるいは自動で解決する仕組みを目指す。

使い方も含めて新提案をするアプローチもありますが、個人開発においては、まずは「今ある流れをどれだけ楽にできるか」にフォーカスすることが、成功への近道であると痛感しました。


おわりに

「Short分析V」自体は今も便利なシステムだと思っているので、今後は「分析好きな人」にターゲットを絞るか、あるいはもっと直感的に使えるよう機能を削ぎ落とすなどのテコ入れを検討しています。

また、次に開発するサービスについてもこの体験をもとに機能設計していきたいですね。


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